マカラスターを代表する、ハンドフレームニットの魅力

スコットランドはブリティッシュウールの産地であり、数多くのニットメーカーが集まる地域でもあります。このニットづくりの歴史と伝統が根付く場所で、1981年にマカラスター(macalastair)は誕生しました。3代にわたるニットウェア製造を出自に持ち、ニット職人たちの熟練した技術や世界遺産の紡績工場で紡がれる希少性の高いウール糸を使用するなど、“古き良き”文化も大切に継承。スコットランドの雄大な自然に敬意を払いながら、環境に配慮したモノづくりを続けています。特筆すべきは、代表的なモデルに使われている英国発祥の「ハンドフレーム(手横編み機)製法」。マシンメイドによる大量生産が主流の現代ではほとんど使われていない製法であり、マカラスターのニットづくりの真髄とも言うことができます。本記事ではこの伝統製法に焦点を当て、マカラスターのモノづくりの魅力を代表的なモデルと合わせてご紹介します。

 

職人の手作業による温もりが、本当の“あたたかさ”を生み出す

マカラスターのニットコレクションの中でも、いくつかの代表的なモデルは熟練の腕を持つスコットランドの職人たちの手により一枚一枚愛情を込めてつくられています。その製造工程は非効率な手作業を多く取り入れることで、よりあたたかみのあるニットを生み出すことができます。

まずは編地(パーツ)を「手横(ハンドフレーム)」という、手で機械を動かす英国発祥の伝統製法でつくります。この製法は機械を扱う技術が必要なうえに、工業用のニットマシーンと比べて量産に時間がかかってしまうため、日本ではほとんど使われていません。しかし手間暇がかかる一方で、パーツごとの糸のテンションや目の詰まり具合を繊細に調整することができます。

できあがったパーツは「ハンドリンキング」という手法で縫い合わせていきます。この工程にも非常に手間がかかりますが、縫いずれが少なくなることで洗濯後の形崩れが防げる、伸縮性が生まれる、パーツ同士の縫代がなくすっきりなじんで仕上がるなど、ニットの着心地を左右するたくさんのメリットがあります。

これらの工程を、職人が手作業で機械を扱いながら、時間をかけて丁寧に編み上げることにより、網目の詰まった保温性の高いニットを生み出すことができます。ハンドフレームの機械は動力に電力を使わないうえに、手作業によるコントロールにより資源(糸)を無断にすることなく編み上げることができるため、環境にやさしいというのも魅力です。

 

世界遺産の紡績工場が紡ぐ、MADE IN SCOTLANDの高品質ウール糸

マカラスターのニットに使われるウール糸は、2001年に世界遺産(文化遺産)として認定されたニュー・ラナークミルズの工場で紡績されています。世界の羊毛生産量において占める率がわずか3%という希少なブリティシュウールに、メリノウールを50%ブレンドしているのが特徴です。

気温の変化が激しい英国の気候で育ったブリティッシュウールは、高級カーペットに使用されていることからも分かるように、弾力性や復元性が高く、形崩れしにくいのが特徴。この貴重なウールにメリノウールを加えることで、糸にやわらかさが生まれます。こうして生まれたニュー・ラナークミルズのウール糸は、天然繊維であるウール本来の撥水性や吸湿速乾性を備えており、高い品質を持つニットを編み上げる良質な素材となります。

また、スコットランドで紡績された糸を使うのにはほかの理由もあります。できるだけファクトリーから近い土地で生産された糸を使用することで、輸送にともなう二酸化炭素排出量を最小限に抑えることができるからです。さらにニット工場では、すぐ側にある川の水力発電で補うなど、環境に負担がないような配慮に余念がありません。

 

さまざまな表情を楽しむことができる、豊富なカラーコレクション

マカラスターのハンドフレーム製法で作られるニットは、豊富なカラーバリエーションにもこだわっています。ニュー・ラナークミルズの紡績工場には多彩な色の糸が揃っており、さらにそれらをミックスして二本の糸を紡ぐことで、さまざまな表情のニットを作ることができます。落ち着いたもの、鮮やかなもの、あえて糸を染色せずにもともとの風合いを生かしたもの、粒立ったネップがアクセントになるものなど、気分やスタイルに合わせてお好きなカラーを楽しむことができるのが魅力です。

 

「ハンドフレーム製法」で作られた、代表的なモデル

MENS|フェアリー ¥18,700(税込)

メンズの代表的なモデルは、クルーネックセーター「フェアリー」。
オーセンティックな丸首でプレーンなデザインでハンドフレーム製法や上質なウール糸の魅力を堪能することができる一枚です。保温性の高さはもちろん、ウール本来の防臭性や吸湿発散性などもあり、“天然のアウトドアウェア”と称せるほど機能性にも優れています。8色の豊富なカラーバリエーションで、黒、紺、グレー系の定番カラー、生地の表面に粒立ったように見えるネップ感が特徴的なカラー、コーディネートのアクセントにもなる鮮やかなカラーまで幅広く揃っています。色によっては、ウール90%にシルクを10%ブレンドすることで風合いを演出。流行に左右されないデザインだからこそ、何色持っていても重宝するはずです。

 

WOMENS|左:ブリックロウ ¥19,800(税込)、右:ラミントン ¥18,700(税込)
WOMENS|左:ブリックロウ ¥19,800(税込)右:ラミントン ¥18,700(税込)

左のハイネックニット「ブリックロウ」は、毎シーズン人気のウィメンズを代表するモデル。トレンド感のあるドロップショルダーで、ミドルゲージのざっくりとした編み地の雰囲気と合わせてラフな印象を演出してくれます。お尻まで隠れる長さのチュニック丈で、身体のシルエットを隠せるだけでなく、あたたかいのも魅力。編み地をあえて裏使いすることでクリーンな表情に仕上げています。5色の展開で、重くなってしまいがちな秋冬ハイネックだからこそ、こちらの[COMO(ブルー)]のような鮮やかなカラーもおすすめです。

 

右はざっくりとしたミドルゲージの編み地で、リラックス感を感じさせるクルーネックニット「ラミントン」。王道の丸首ながら、ドロップショルダーにすることでモダンな印象に見えるのが特徴です。裾はリブになっており、両サイドにスリットを入れることですっきりと見える仕様に。他のモデルに比べて着丈を短く設定しているので、ボリュームのあるボトムスとの相性も抜群です。3色展開。

 

英国ニットの伝統を大切に受け継ぎ、着る人と環境への配慮を忘れないのがマカラスターのハンドフレームニット。どのアイテムもシンプルなデザインながらたくさんのこだわりを持ち、手間暇をかけて一枚一枚つくっているからこそ、着用した時にはじめて発見できる魅力があるはずです。

photo Masahiro Yamamoto text K-suke Matsuda(RECKLESS)